本記事で扱う5つの観点(目次)

  1. 京都で「実家の空き家」を考える人が増えているのはなぜ?
  2. 相続前に家族で何を話しておけばいい?まず確認したい4項目
  3. 実家は売る・直す・貸す・残す・解体のどれがいい?5つの選択肢を比較
  4. 相続後に慌てないために知っておきたい「登記」と「税」の期限
  5. 醍醐・石田・小栗栖・山科区で実家を考えるなら「不動産価格」だけで判断しない

特に大切なのは、相続が起きてから結論を急ぐのではなく、親御さんが元気なうちに「誰が使うのか」「誰が管理するのか」「費用を誰が負担するのか」を家族で確認しておくことです。この記事では、京都市、とくに醍醐・石田・小栗栖・山科区周辺で実家や空き家について考える方に向けて、判断の順序を整理します。

京都で「実家の空き家」を考える人が増えているのはなぜ?

京都というと町家や歴史的な住宅を思い浮かべる方も多いですが、実際の住宅事情は地域によって大きく異なります。醍醐・石田・小栗栖や山科区には戸建住宅、連棟住宅、共同住宅などさまざまな住宅ストックがあり、同じ「京都の実家」であっても、立地や建築時期、接道状況、建物状態によって活用方法は変わります。

醍醐・石田・小栗栖・山科エリアの住宅地を望むイメージ

京都市の令和5(2023)年住宅・土地統計調査では、市内の総住宅数は842,300戸、空き家は105,300戸、空き家率は12.5%でした。さらに、賃貸用・売却用などとして流通していない「活用・流通されていない空き家」は44,300戸とされています。住宅・土地統計調査は標本調査であるため数値には標本誤差がありますが、京都市でも相当数の住宅が居住・流通に使われていないことが分かります。※統計数値は掲載時に最新資料を再確認してください。

行政区別では、令和5年調査で山科区の空き家率は13.7%、伏見区は12.7%と公表されています。醍醐・石田・小栗栖は伏見区内に位置しますが、区全体の数字をそのまま各地域の空き家率とみなすことはできません。この点は地域分析をするときに注意が必要です。

実家が空き家になる典型的なきっかけは、親の施設入所、子世帯との同居、長期入院、そして相続です。問題は「空き家になった瞬間」よりも、その後の方針が決まらないまま時間だけが経過することにあります。

人が住まなくなった住宅では、換気不足による湿気、給排水設備の劣化、庭木の繁茂、雨漏りの発見遅れなどが起こりやすくなります。また、固定資産税、火災保険、最低限の修繕、庭や建物の管理など、使用していなくても費用は発生します。

そのため、「相続が起きたら考える」のではなく、空き家になる可能性が見えてきた段階から情報整理を始めることが重要です。

相続前に家族で何を話しておけばいい?まず確認したい4項目

1.親御さん本人は実家をどうしたいのか

最初に確認したいのは、不動産価格ではなく所有者本人の意向です。

「できれば残したい」「子どもの誰かに住んでほしい」「自分が住めなくなれば売って構わない」「仏壇や家財を整理してから考えたい」など、実家に対する考え方は人によって違います。

親世代と子世代が実家の資料を見ながら穏やかに話し合う様子

ここを飛ばして子世帯だけで売却や解体の話を進めると、家族間の感情的な対立につながることがあります。反対に、「絶対に残す」と決めたとしても、誰が管理し、年間の費用を誰が負担するのかまで決めなければ、次の世代に問題を先送りする可能性があります。

2.誰が相続する可能性があるのか

不動産は現金と違い、物理的に簡単には分けられません。兄弟姉妹がいる場合には、「共有にすれば公平」と考えたくなることもありますが、共有不動産では将来の売却や大規模修繕などで複数の関係者による意思決定が必要になる場面があります。

相続人の範囲、遺言の有無、他の相続財産とのバランスなどは、不動産だけで判断できる問題ではありません。必要に応じて司法書士、弁護士、税理士などの専門家に確認することが重要です。

3.建物と土地の状態はどうなっているのか

「売る・貸す・直す・残す・解体する」の判断には、建物と土地の現状把握が欠かせません。

たとえば、登記上の所有者は誰か、建物が登記されているか、境界は明確か、前面道路はどのような道路か、再建築に支障がないか、増築部分と登記内容が一致しているか、雨漏り・傾き・腐朽・シロアリ被害などがないか、といった点です。

建物や土地の状態を確認するイメージ

京都では古い住宅や連棟住宅もあり、隣家との構造的な関係、敷地形状、接道条件などによっては、単純に「古いから解体」「更地にすれば売りやすい」とはいえないケースがあります。解体前に建築・不動産の両面から確認した方がよい理由はここにあります。

4.年間いくらかかっているのか

感情と資産価値だけでなく、「保有コスト」も数字にしてみます。

固定資産税・都市計画税、保険料、庭木の剪定、定期清掃、修繕費、遠方から管理に通う交通費などを年間で整理します。月額では小さく見える費用でも、5年、10年と保有すれば負担は積み上がります。

一方で、多少の修繕を行えば賃貸できる住宅や、家族が将来利用する可能性が高い住宅まで、保有コストだけを理由に急いで売却する必要はありません。「維持費」と「残すことで得られる価値」の両方を見ることが大切です。

実家は売る・直す・貸す・残す・解体のどれがいい?5つの選択肢を比較

売る・直す・貸す・残す・解体、5つの選択肢を象徴するイメージ

選択肢1:売る

売却の大きなメリットは、不動産を現金化でき、その後の管理負担をなくせることです。相続人が京都から離れて暮らしている場合や、今後家族が使用する予定がない場合には、有力な選択肢になります。

ただし、「そのまま売る」「最低限直して売る」「建物を解体して土地として売る」では結果が異なります。先に高額なリフォームや解体をしても、その費用を売却価格にそのまま上乗せできるとは限りません。

まず現況での査定と、必要なら改修後・解体後の想定も比較し、投じる費用に合理性があるかを見るべきです。

選択肢2:直す

建物の状態や立地が良ければ、修繕やリフォームによって「住み続ける」「子世帯が使う」「将来貸す」といった可能性を残せます。

ここで注意したいのは、リフォーム費用だけを見ないことです。耐震性、屋根・外壁、給排水管、電気設備、断熱性など、今後長く使用するために必要な工事の優先順位を整理する必要があります。

見た目をきれいにする内装工事より先に、建物の基本性能に関わる部分を確認した方がよいケースも少なくありません。

選択肢3:貸す

「手放したくはないが、当面家族が使わない」という場合には賃貸も候補になります。家賃収入を得ながら所有を継続できることがメリットです。

一方で、貸せば終わりではありません。募集前の改修、設備故障への対応、入居者管理、退去時の原状回復などが必要です。また、立地や建物状態によって想定賃料と必要改修費のバランスが合わないこともあります。

「いくらで貸せるか」だけではなく、「貸せる状態にするまでいくら必要か」「年間の手残りはいくらか」まで計算して判断します。

選択肢4:残す

家族の思い入れが強い、将来子どもが戻って住む可能性がある、仏壇や家財の整理に時間が必要など、すぐに処分しない合理的な理由がある場合には「残す」ことも立派な選択肢です。

ただし、「決められないから何となく残す」と「目的を持って残す」は違います。

残す場合は、管理担当者、管理頻度、年間予算、いつ再検討するのかを決めておくと、空き家の長期放置を防ぎやすくなります。たとえば「2年間は保有し、2年後に家族が利用しない場合は売却・賃貸を再検討する」という期限を設ける方法もあります。

選択肢5:解体する

建物の劣化が著しく、改修して使用する合理性が乏しい場合には解体が選択肢になります。老朽建物の管理負担を減らし、土地としての利用方法を考えやすくなることがあります。

ただし、解体は後戻りできません。再建築の可否、土地利用、売却方法、固定資産税等への影響、隣接建物との関係などを確認せずに工事を先行させるのは避けた方が安全です。税額や住宅用地特例の適用については物件条件で異なるため、実行前に自治体や税理士等へ確認してください。※要確認

💡 ポイント:業種の都合ではなく5つを同じテーブルで比較する

不動産会社は売却を、工務店は改修を提案しやすいという構造があります。しかし、実家の問題は本来、一つの業種の都合から決めるものではありません。「売る・直す・貸す・残す・解体する」を同じスタートラインに置き、それぞれの費用とメリット・デメリットを比較することが重要です。TSC HOMEでは、不動産と建築の両方の視点から現況を整理するご相談を承っています。

相続後に慌てないために知っておきたい「登記」と「税」の期限

実家の方針を考えるとき、感情や建物状態だけでなく、法律・税制上の期限も確認しておく必要があります。

2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、原則として、自分のために相続が開始したことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

さらに重要なのは、2024年4月1日より前に発生した相続であっても、未登記なら対象になり得ることです。施行前から相続したことを知っていた未登記不動産については、原則として2027年3月31日までが期限になります。※制度は掲載時点の法令・法務省資料を再確認してください。

遺産分割が期限内にまとまらない場合などに、相続登記の義務を履行するための簡易な仕組みとして「相続人申告登記」も設けられています。ただし、これは最終的な遺産分割の内容を登記する手続きの代わりになるものではありません。売却などを行う場合には通常、権利関係を整える相続登記が必要になります。

また、相続した空き家を売却する場合には、一定の要件を満たすと「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」が利用できる可能性があります。国税庁の2026年4月1日現在の案内では、対象期間や建物の要件などを満たした場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度が案内されています。相続人が3人以上の場合の控除限度額など、細かな条件があります。適用期限・対象家屋・耐震・解体・譲渡時期等の要件があるため、売却前に税理士や税務署等へ確認してください。※要確認

税制は「売ってから調べる」のでは遅い場合があります。売却、解体、賃貸などを実行する前に、どの制度が関係する可能性があるのかを確認しておくことが重要です。

醍醐・石田・小栗栖・山科区で実家を考えるなら「不動産価格」だけで判断しない

醍醐・石田・小栗栖・山科区周辺で実家の相談を考える場合、最初から「いくらで売れるか」だけを調べると、選択肢を狭めることがあります。

たとえば建物に修繕価値があるなら、必要な部分を直して住み継ぐ方法があります。一定の賃貸需要が見込め、改修費との収支が合えば、貸す方法も考えられます。一方、建物状態や法的条件によっては、費用を掛けて改修するより現況での売却や別の方法が合理的な場合もあります。

つまり必要なのは「査定額」だけではなく、少なくとも次の5つの情報です。

  • 土地・建物の現在価値
  • 建物の状態と今後必要になる修繕
  • 売却した場合の手取りの概算
  • 貸した場合の賃料、初期投資、維持費の概算
  • 残した場合の年間管理費と将来の利用可能性

この5つを同じテーブルに並べると、家族で話し合いやすくなります。

まとめ|実家じまいは「処分すること」ではなく、家族の着地点を決めること

実家じまいという言葉から、「家を売る」「家財を処分する」「建物を解体する」といった作業を想像する方も多いかもしれません。しかし、本当に先に決めるべきなのは、家をどう処分するかではなく、「家族として、この家を今後どう位置付けるか」です。

売ることが適切な家もあれば、直して住む方がよい家、貸すことで活用できる家、一定期間残す合理性がある家、解体した方がよい家もあります。

相続が起きて期限や手続きに追われてから考えるより、親御さんが元気なうちに、本人の希望、相続する人、建物状態、維持費、利用予定を整理しておく方が選択肢は広がります。

トスクホーム(株式会社京都アシスト)では、不動産会社としての売却・賃貸の視点だけでなく、建築会社として建物を直して使えるのか、どの程度の修繕が必要なのかという視点も含め、実家の選択肢を整理しています。

「売却するかどうかまだ決めていない」という段階でも、まず現状を整理することはできます。結論を急ぐのではなく、家族が納得できる着地点を探すところから始めてみてはいかがでしょうか。

Q&A:よくあるご質問

Q1. 親が元気なうちに不動産会社へ相談しても大丈夫ですか?

A. 問題ありません。むしろ売却を決める前の段階で、現況の価値、建物状態、賃貸の可能性、将来必要になりそうな修繕などを把握しておくと、家族で話し合う材料が増えます。ただし、所有者本人の意思を尊重して進めることが大切です。

Q2. 相続した実家は、すぐ売らないといけませんか?

A. 売却自体が一律に義務付けられているわけではありません。ただし、相続登記には期限があり、空き家の管理費や建物劣化も進みます。「売らない」という判断をする場合でも、誰が管理し、費用を負担し、いつ再検討するかを決めておくとよいでしょう。

Q3. 古い実家は、リフォームしてから売った方が高く売れますか?

A. 必ずしもそうとは限りません。改修費を売却価格に全額反映できるとは限らず、買主が自分でリフォームしたい場合もあります。現況売却、部分修繕、全面改修、解体後売却などを比較してから判断する方が合理的です。

Q4. 京都の空き家は解体して更地にした方が売りやすいですか?

A. 物件ごとに異なります。接道条件、再建築の可否、建物の価値、隣家との関係、解体費、税務上の影響などを確認する必要があります。特に古い住宅や連棟住宅では、解体を決める前の調査が重要です。

▼ まとめ・ご相談ください

実家の将来は、最初から「売るか、残すか」の二択にする必要はありません。京都で不動産と建築の両方に携わる私たちが、相続前に家族で整理しておきたい5つの選択肢をご紹介しました。
ご不明な点は、TSC HOME|トスクホーム(株式会社京都アシスト)までお気軽にお問い合わせください。相続・空き家に関するご相談は、初回60分まで無料です。

※ 本記事は一般的な考え方の整理を目的としたものであり、個別の税務・法律判断を保証するものではありません。具体的な手続きについては、専門家へ個別にご相談ください。

参考・引用元

※ 本記事中の制度・法律に関する情報は執筆時点のものです。最新情報は各公式サイト・担当窓口にてご確認ください。

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